2020.06.07

ロスカットの恐怖をプロスペクト理論に当てはめて考えてみる

こんにちは!トレードの心理的な面に関する有名な理論としてはプロスペクト理論がありますよね。

トレードの勉強をしていると何回かこの理論について聞いたことがあるでしょう。

聞いた感じ、ヘェ〜という感じで終わってしまいますが、今回はそのプロスペクト理論に照らし合わせながら、損切りにフォーカスしてトレードでの立ち振る舞い方を考察していきます。

損失に関するプロスペクト理論

損失が出ると精神的な痛みを伴う

トレードをしていて含み損が出てしまったり、損切りにあったりすると精神的なダメージを受けます。

それはどのトレーダーでも同じ。お金が減ってしまうわけですから、それで喜ぶトレーダーさんなんていません。どれだけ熟練していても損失は嫌なものです。

プロスペクト理論においても、損失が出るにつれて精神的なダメージは大きくなるという風にされています。

ただ、損失の面においては、損失が大きくなるにつれて、その精神的なダメージの増え方が比較的緩やかになってきます。

有名な曲線なので、みたことがある方も多いことでしょう。

この損失に対する捉え方がプロスペクト理論でとても大事なことなのですが、このことについてもう少し考察していきます。

損失が広がりすぎるとどうでもよくなってくる

プロスペクト理論の一番恐ろしい点は、損失が拡大していった時に精神的ダメージの増大が緩和されていくというところにあります。

これはまたホラー映画級に恐ろしいですよ。

その恐ろしさをもう少し具体的に考察します。

たとえば、あるトレードをしていて含み損が出ているとしましょう・・・・

・・・・・

「すごくつらい・・・あぁ早く解消されないかなぁ。」

なんて考えていると、どんどんポジションとは逆行していってしまいました。

「あぁつらい。つらいなぁ。」

それでも損切りはできないので、とりあえずポジションを持っておく。

ところが相場はずっと逆行し続けて、どんどん損失は膨らんでいくばかりです。

「なんだよこれ、どうしたらいいんだぁぁぁ。」

そのまま損切りはせずに含み損はまだまだ膨らんでいきます。もう資金の半分以上の含み損が出てしまいました。もうあとがありません。

「・・・・・・。」

「もうどうでもいい!!知らん!!」

そして逆行トレンドはまだまだおさまらず、最終的に資金を全て失いゼロカットを食らってしまいました。

こういう経験をされたことはありませんか?

まさにこれがプロスペクト理論なのです。

最初は含み損が出てすごくつらいけど、だんだんどうでもよくなってくる。

思考停止をしてしまっているのです。

ここまでマイナスが出たんだからたとえゼロカット食らっても同じ、ゼロカットくらう前に相場が戻ってきたらラッキー。みたいな考え方なのです。

そしてゼロカットを食らってしまった後にはもう空っぽの精神状態になっているのです。

先ほどの、プロスペクト理論のグラフをもう一度見てみましょう。

左下が、損失が膨らんでいくにつれて精神的ダメージがだんだんと膨れていくということを表しています。そして損失がある程度膨らんでいくと、精神的ダメージの増え方がだんだんとなだらかになっていくということが示されています。

しかし、これには「どうでもいいや」といった領域が表現されていません!!

「どうでもいいや」に到達するエリアを明記してあげることで、よりわかりやすくプロスペクト理論を理解することができます。

こちらの図をみていただければわかりやすいですが、だんだんと損失が膨らんでくると(左に行けば行くほど)精神的ダメージはあまり増えなくなります!

そして、ある一定の損失を抱えるともはやどうでもよくなってしまいます。。。。。

イヤァァァァァァァァ

プロスペクト理論の恐怖から抜け出す方法

損切りがあらかじめ決まっているトレードプランが大前提

この恐ろしいプロスペクト理論から抜け出すには、損切り位置があらかじめ決まっている手法・トレードプランでなければなりません。

エントリーする時に損切り位置を決めておく。なんならそこに損切り注文も入れておく、くらいのことをしておきましょう。まだまだ勝ち続けられていないトレーダーさんは、これだけは必須です。

損切り位置が決まっていないと、リスクをどれだけとるトレードなのかすらわからないですし、それで資金管理もできなくなってしまいます。

損切り位置を決めていないトレードはやらないこと。これがプロスペクト理論の恐ろしさから抜け出すスタートになるのです。

この損切り位置はエントリーする前から決めておくことも重要です。エントリーする時にはすでにどこが損切り位置なのか決まっていること。

そしてさらにその損切り位置をトレードの途中で広くしないことが大切になってきます。

途中で損切り位置を変えない

プロスペクト理論による恐怖からとにかく抜け出すためには、トレードのルールを用意し、それを必ず守るという自分の気持ちの制御を高める必要があります。

あらかじめ決めておいた損切り位置を必ず守るということ。

そしていざポジションを持った後でも、その最初に決めた損切り位置から広い方向に損切りを変えてはいけません。

トレードする前に損切り位置を決めていて、エントリーをかけても、その後ポジションずっと持っているとだんだんと損切り位置に近づいてきてしまう場合もあります。

そういった時、ちょっとだけ損切り位置を広くかかしたらいいんじゃないかみたいなことを考えてしまうことがありますよね。

でも、最初に決めていた損切り損切りの位置から損失が膨らむ方向に損切りの位置を変える事は決してやってはいけません。

だって、その損切り位置は、「トレードをする前にこうなったらエントリー根拠が崩れる」として決めた損切り位置だからです。

その損切り位置に到達した時点で、すでにエントリー根拠が崩れてしまっているのです。

それにも関わらず、損切りの位置を広く変えることは、ただただ損失ウェルカムの状態に持って行ってるだけなのです。

ここに注意していただきたいのは、エントリーをスタート損切りの位置を狭めることは別にやってもOKです。

プロスペクト理論で言ったら損失が少なくなることは精神的ダメージを少なくすることにつながるからです。

トレードのルールによりますけどね。

例えば有名な方法としてエントリをかけた時、ある程度の利益がポジション乗ってきた場合はストップロスの位置をエントリーの位置にまで引き上げる方法があります。

こうすることで、ストップロスの位置に、相場が戻ってきたとしても、トレードとしては損失をゼロに抑えることができます。

まぁこれはトレードの方法にもよるのであながちどれが間違ってるとかどれが正しいとか、決めることができません。

大切なのは損切りの位置を広くしないことです。これだけは必ず守りましょう。

途中で時間軸を変えない

し次に注意しておきたいのは、エントリをかける根拠となった時間軸を損切りの時に広くしないことです。これはまったく。マルチタイムフレーム分析というものにはアテハマリません!!

少しわかりにくいかもしれませんので詳しく説明します。

例えばエントリーの時に使った時間軸が5分足だった場合、あらかじめ5分足で損切りの位置を決めておくはずですね。

しかしだんだんエントリをかけてから相場が損切りの位置まで迫ってきたとき、もうちょっと広い時間軸で相場を分析し始めてしまうことがあります。

例えば1時間足でチャートを見てみたり。。。

エントリーのときには全く考えてもなかった1時間足を見てもうちょっと損切りの位置を広くとってもいいんじゃないかと考え直してしまうことがあります。

5分足で見るとこの位置が損切りの位置になるんだけど、1時間足で見ると、まだまだ損切りの位置を広く取っても全く問題がないと考えてしまうのです。

まぁこれも結局は、さきほど述べた損切りの位置を変えるということに繋がるのですけれどね。笑

結局は、損切りの位置を広くして得られることなんて何もないのです。

損切りの位置を広くすることで、あるひとつのトレードの結果がうまくプラスになったとしても、だいたいのケースは損失が膨らんでしまってオワルだけなのです。

これを、プロスペクト理論に当てはめて考えてみましょう。

損切りの位置を広くすることは、精神的ダメージを増やすことになります。

精神的ダメージを増やすということは、自ら自分の精神お傷つけに行ってしまっているのと同じです。

そして「どうでもいいや」と思えるような投げやりエリアの損失の位置まで自分の方から近づいていってしまっているんです。

だから、精神的ダメージが少ないうちに損切りをしておかなければならないのです。

精神的ダメージをゼロにすることはできません。これは、どんな凄腕トレーダーでも一緒です。

そう考えると、損失の位置を広くとってしまうこと、つまり損切りの位置を広く変えてしまうことは何のメリットもないことがわかると思います。

とにかく何も変えない

これまで代表的な方法対策を説明してきました。しかし極論をいうと、結局のところ、いくら自分の心情の変化があったとしてもトレードのやり方は何も変えてはいけないのです。

エントリーの準備、そして実際にエントリーをかけるとき、その時の損切りの位置、さらに利確の位置、ロットの数、損切りをになってから次のエントリーまでの準備、利益確定をしてから次のエントリーまでの準備、全てのサイクルを同じ判断基準で、何も自分の心情の変化にとらわれずにトレードを淡々と実行していく必要があるのです。

そうすることで初めてその今使っているトレード手法の優位性や、弱点、勝率、リスクリワードなどが分かってくるのです。

まぁここらへんについてはバックテストをすることで事前に知っておくことができますけどね。むしろ事前に知っておかなければならないことでもあります。

そして優位性のあるトレード手法であると分かっている限りは、先ほど述べたようなことを一切変えてはいけないのです。

意外と影響を受けやすいのはプライベートでの出来事です。例えば誰かと喧嘩してしまったり、誰かから怒られてしまったり、自分がイライラしてしまうことが起こってしまったり …。

そんなプライベートでの心情ののちょっとした変化がトレードの成績に大きな歪みをもたらすことになるのです。

そのためトレーダーである限りはいくらプライベートで何かが起こったとしても、トレードするときにはすべてを同じ目で見て同じルールに従って同じことを繰り返さなければならないのです。

そうしないとプロスペクト理論でいう、どうでもいいやと思えるようなエリアに知らず知らずの間に入ってしまうことになるからです。

           
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